国家プロジェクト「福島イノベーションコースト構想」における再生可能エネルギーを核とした復興再生事業の一環としての太陽光発電設備と、その電力を利用した世界最大級の水素製造の実証プラントで行われる実証実験内容を広く一般に伝えるための「展示施設」、水素エネルギーに関わる4社の専門家が共に研究を行うための「研究室」を併設した施設である。外観は連続的な雁行配置と開口率を抑えた外装スリット窓からの漏光による連続した光が印象的な空間を演出した。内部の展示室は、自然光を積極的に取り入れながらも展示の配置に呼応した抑揚のある照明計画とした。また3D照度計算シミュレーション及び実機による投影実験を繰り返し、自然光の入る展示空間でありながら投影展示の実現を可能にするべく綿密な計画を行った。
この施設の光環境はスリット窓からの柔らかな漏光と天然木の外装により地域の新しいものを受け入れる寛容さ、見に来る人への柔らかさを見事に建築と照明設備が一体となって体現している。一方で実験研究と一般に向けた周知という性質が異なる物を印象的な光環境にて調和演出している。先端技術を集積させ新たな産業の定着と発展に寄与する拠点として注目されるものになると考えられる。