福岡市に本社をおき学習塾を展開する「松陰塾」の多目的施設「交友館」は、現代の「松下村塾」として、吉田松陰の教えを継承し発信していく施設である。①「松下村塾」の実測図をもとに模築された「新松下村塾」、②松陰塾萩本校、③研修施設、の3つの機能を持つ。1階部分に塾機能と事務機能、2階部分に「松下村塾」の平面形式を踏襲した研修室と屋根裏を持つ畳の間を配し、今回、模築した「新松下村塾」に接続されている。
人々を包み込むような明るく開放的な空間とするために、屋根と屋根裏を1枚の板で表現できるCLTを採用、在来軸組と屋根のCLTを組み合わせた木造形式としている。CLTは、梁に直接載せるのではなく小屋束に直接載せて屋根裏面を簡素化、CLTが現しとなったことで緊張感のある美しい仕上がりとなった。
萩市のシンボルともなりうる秀逸な事例。
松下村塾の再現まで含めたハイブリッドな建造物での照明計画は難易度が高く、評価できる。
建築意匠に調和するアンビエントの使い方が良い。