THE MUTUAL -相互扶助のカタチ-
日比谷公園の向かいに位置し、半世紀近く経つ生命保険会社の本社エントランスのリニューアル計画である。既存の空間は硫化イブシのブロンズパネルや大理石の石などでしつらえているが、天井を特定天井にし、構造的な安全性を保ちつつも軽量素材での刷新した印象を実現するべく、全く違うアプローチでのロビー空間の実現が試みられている。
「相互扶助」を掲げる会社にふさわしいデザインとして、1500ピースからなる繊細なアルミの特注パーツを編み込むように組み合わせ、「お互いがお互いを支えあう」という相互扶助のカタチが表現されている。前面にある日比谷公園の木々からこもれる光と呼応し、ゲストを時間と共に変化する柔らかな表情で迎え入れる空間を実現している。
モックアップなどでの試行錯誤の中から生まれた秀逸のデザイン性を感じる。一般的な照明機器を巧みに使いこなし、稀有な光環境をつくりだしており、照明計画において参考となる好例である。