奈良の豊富な歴史文化資源を更に活かすべく、奈良市中心部の県有地に滞在型観光を中心とした新たな賑わいの拠点を整備するプロジェクト。会議場、物販・飲食店舗(奈良蔦屋書店)、バスターミナル等で構成され、中心には「天平広場」と名付けた屋外広場を設けていることに加え、同時期に隣接して建設されるホテル、放送局などとの連携も考慮した計画となっている。外装は天平文化をデザインモチーフとし、軒の水平線を強調したスカイライン、東大寺正倉院(校倉造り)を想起させる外壁、寺社の回廊を想起させる列柱を設けている。
また国産材のブランドである吉野杉・桧を、屋根の集成材の格子梁や、無垢材・スライス材・壁紙などの仕上材、コンクリート型枠、ランプシェード、扉の引手、家具、鉋屑を挟んだガラススクリーンなど多種多様なシーンに採用し、様々な活かし方を試みている。また一方で、奈良晒や大和蚊帳、吉野手漉き和紙等を使用するなど、奈良らしさを体現する空間づくりを目指している。
外観ファサードでは、下方庇よりリニアライン照明によりアップライトすることで水平ラインを強調し、陰影を作り出すと共に、調光により「炎」も連想させ、屋内においても光壁を使い、特徴的な意匠や素材を効果的に演出できている。また、イベント広場では、催しに応じた照明シーンを実現できる。