1926年に竣工し、15年前廃校となった京都の旧立誠小学校の跡地を60年先の未来に繋ぐプロジェクトであり、小学校の跡地と校舎を活用し、ホテルを中心に商業テナント、ホール、ライブラリ、自治会館、駐輪場を含む複合施設として再生した。旧立誠小学校は京都で現存する最古のRC造の校舎でヨーロッパの様式に則った立面構成となっており意匠性は高く京都市の歴史的風致形成建造物に指定されている。この旧校舎の時代的な特徴を残すため、外観イメージを変えない改修を行った。増築棟の外観についても、旧校舎の凹凸のリズム感を踏襲し、旧校舎の面影を施設全体で再構築することで、旧来から親しまれてきた地域のシンボルとして再生していくことを意図している。
新旧の建物に一体感を感じさせる照明計画となっており、京都らしい落ち着いた景観を実現している。施設内では全体的に明るさを抑え、低色温度で演色性の高い光源を用いることで、上質で温かく落ち着いた雰囲気を作りだしている。ホテルレセプションでは光学フィルターを用いた照明手法により器具の種類を少なくすることで、器具の存在感を感じさせずに空間を美しく見せる工夫がされている。ゲストエリアでは、直火を中心とした温かみのある灯り空間を作っており、心地よい滞在時間のための演出が見られる。