敷地は大阪市の郊外に位置し、同社の鉄骨加工工場に隣接している。「社員が誇りを持てる 鉄骨加工業の未来をつくる建築の創造」を建築コンセプトに掲げ、これからの鉄鋼事業にふさわしいワークプレイスの実現と建物自体が「鉄のショールーム」となることを目指して計画した。内部の各エリアは3次元のボロノイ分割によって、関係する部署同士が隣接するように立体的・多面的につながり、コミュニケーションの活性化を促している。自由に利用できるワークプレイスとして設えた吹抜けのコミュニケーションエリアは大きな開口部によって十分な外光を室内に取り入れ、自然のあかりの変化を感じられる執務環境となっている。
本計画では複雑な鉄骨の構造体を実現するためにBIMモデルを用い、鉄骨の製作、施工の精度管理を実施しているが、照明計画においても同様にBIMモデルを使用して3Dによる検証と設計を行った。
建築鉄骨製作業を行う企業における鉄鋼事業本部の社屋である。同社が製作した鉄骨部材を、各建材の特徴に合わせて光源を使い分けて照らすことで、鉄骨架構の魅力を感じられる空間をつくっている。夜間には、室内の天井や壁面を照らす光によって印象的なファサードを作りだし、外部へ漏れる柔らかい光により地域環境にも貢献している。DALI制御と多重伝送方式の連携による照明制御により省エネルギーに配慮している点も評価できる。