長崎県立長崎図書館、大村市立図書館の県・市が一体となり、施設区分のない運営を行う県・市一体型の図書館として計画された。両館ともに老朽化、狭隘化のなか、図書館に求められる社会的背景や役割が多様化、専門化し、その解決を図るべく、県・大村市一体の図書館とすることで、全国で6番目、九州でも2番目の約202万冊を収容する、「知の拠点」としての役割を持った図書館として整備された(2019年10月完成)。本計画では、職員と本の居場所「ブックドック」を核に、複数階にまたがる階構成を「段状にずらし」ながら、「連続的したひとつの空間」とすることで、図書館における活動の経験が分断されることなく、シームレスな経験を生み出すことを意図した。ひとつ屋根によってすべての機能がそれぞれの段上に配置され、一方で、湾状に囲われた広場までがすべての階層から見通せる。また、各種環境配慮手法の採用により図書館で国内初のZEB Readyを取得している。
大屋根天井木ルーバへのスポットライトの照射による間接照明、書架や閲覧机での家具組込み器具による照度の確保を適切な器具を用いて行うなど、タスクアンビエント照明が徹底されている。またセンサによる照明制御が積極的に行われ、省エネ性・経済性も極めて高く、段状ライブラリーの大空間のグレアレス照明など上質な光環境も兼ね備えた公共施設を実現している。