1964年から梅田地区の主要な歩行者動線として街を支えてきた梅田新歩道橋のリニューアル。歩道橋手すり照明は、計算された「光」が経路を示すことにより、分かりやすく安全で快適な歩行空間を創り出し、新たな人の流れを生み出している。また、「光」の隙間を縫うように人々が歩くことで、光と影の動的な風景が生まれる。デッキ広場は、連なった高低差のあるベンチに、柔らかい「光」を付加することにより、憩いの空間を演出している。
歩道空間の照度基準は床面だけでなく、人の顔が判別できるように高さ1.5m以下の鉛直面に対しても求められるなど制約が厳しい。照明器具は、ドットレス仕様でありながら705lmという高い光束量の製品を採用し、光を拡散させるためのポリカーボネイド性シェードを取り付けることで光を歩道橋中央部まで届け、人の顔が判別できる明るさを確保した。
デッキ広場はベンチと一体となった電球色の照明と光を柔らかく反射するSUSパネル、デッキ材の組み合わせにより、空間演出と安全性/防犯性を両立した暖かみある憩いの空間となっている。
歩道橋の手摺に設置したドットレスのライン照明により照明柱のない空間演出を実現し、連続する光が夜間歩行を誘導する点で評価できる。また、歩道上の床材に、いぶし銀の色むらをもつ還元焼成のタイルを使用し、反射率の高いタイルを選別して高欄側に敷設することで歩行者への明るさ感を高めている。