大正10年から昭和8年にかけて建設され、歴史的価値が高いとされた大丸心斎橋店本館の建替え計画。御堂筋の夜の都市景観を彩る外装のライトアップにおいては、「歴史と賑わいが溢れる宝石箱」をテーマに、主役である保存外壁は解体時より以前の歴史的な表情を再現したオリジナルの照明演出を行い、高層部はその背景として緻密な反復意匠がシルエットとして浮かぶ、現代的で百貨店らしい華やかさのある夜景がデザインされている。また内装においては、保存内装部材の照明は、全てLED照明に置き換えるが、創建当初の光環境を継承するべく、色温度の選定、灯数の検討が行われた。また戦時の供出により無くなっていた1階メインホールのシャンデリアを、残る写真から復原し、百貨店らしい華やかさのある空間をよみがえらせた。(2019年9月完成)
昭和初期の建物の照明を再現しながらも、LEDの採用による商業施設に現在求められる視環境への対応や、メンテナンスへの対応など、既存の部材を最大限に活用しながら実現している点が評価できる。また、新たに設けた高層部の外装スクリーンは、内側の壁を照らすことにより旧本館の保存外壁の背景として、そのアール・デコ装飾がシルエットとして浮かぶよう計画されている。