未来のモビリティと生活の形を具現化した計画である。近未来の建築を具現化するにあたり、「人とともに成長する生命が宿る建築」をコンセプトとして掲げ、高度なIoT技術とAIを活用することで、人の好みを建物が学習し、人が感情移入できる建築を目指した。照明はライン型の間接照明と、アルミパネルの開口に合わせた菱形の照明器具の組み合わせによる計画とした。照明器具は内外装仕上の二重のアルミパネルの内部に埋め込むことで、建築と一体化した照明計画を目指した。ライン型の間接照明は調光、菱形の照明は調光・調色ができ、アルミパネル内に設置された照度センサや輝度カメラなどのビックデータや人の好みをAIが学習し、照明制御に反映が可能な計画としている。
先進的な照明制御を採用している事例は、効率など機能的技術に偏りがちだが、本事例は普及が期待される先端的な調光技術を多く含むだけでなく、雰囲気づくりとのバランスも兼ね備え優れている。一般の方が生活の各場面で新しい時代の照明のあり方を体感・イメージできる点で普及賞に相応しい事例と言える。従来の照明制御は照度による調光が多いが、空間における輝度分布や人間の感覚をモニタリングし、それらを統合して制御するシステムは独創的である。