東日本大震災支援として、あかりからのまちづくり、高台避難誘導照明環境整備の活動が、釜石市東部地区、岩手県陸前高田市、いわき市久ノ浜地区等、様々な地域で行われている。その環境整備の一環として、気仙沼市の「顔」となる気仙沼駅前商店街(商和会)では「商店街再生加速化支援事業費補助金(県・市)」を活用し、安心・安全な地域づくり、地域に密着した商店街として子どもから高齢者まで幅広い世代の交流を促すことにより、気軽に利用できる商業機能の向上を目指し、「気仙沼あかりものがたり」の一つとして商店街による街あかり整備が実施された。
既存の商店街灯は路面を明るくすることを目的に計画されたが、今回の改修では街空間の境界部分である、民地建物際、駐車場の奥側(ボイドスペース)に照明を設置することにより、暗闇を無くし、安心と防犯性を高めることを目指した。照明の電源は既存の商店街灯から供給することを基本として、建物側に照明灯を設置した。
町の特徴をイメージした器具の選定を行い、地域住民のみならず観光客に対しても優れた照明設備を提供している。LED照明の発展を考慮し、設備更新時に有利となる電球型光源器具を積極的に採用している。既に完成している内湾の各種照明と一体感を持たせる設計を行う他、実機による実証実験や住民からの意見聴取などを行い、利用する人側の立場での設計と行っている。単なる商店街の照明に留まらず、将来的には町全体(駅前広場公園や駅舎周辺)も考慮した規模に発展すると考えられる。