東日本大震災で全建造物の約8割が全半壊した宮城県女川町の、再建をけん引してきた町役場の新庁舎である。新庁舎は町役場機能に加え、震災前は別の建物であった、保健センター、子育て支援センター、図書館、ホールを併設、集約配置をした複合施設となっている。
庁舎は、町の中心部に位置し、海側低地商業公共エリアと高台住宅地とを動線的、機能的に「つなぐ」役割を担う町民のコミュニティ拠点である。町内の主要箇所から女川湾に向かう眺望軸を強く意識した配置としており、施設内各所に海を望む大きな開口を配し、光、風とともに海の景色を取り込み、海とともに生きる町のシンボルとなることを意図している。
異なる機能がひとつの建築物に統合されたことにより、町民のコミュニティ拠点としての役割を担うこととなった新庁舎をより親しみやすい空間とすべく、照明の色温度を統一し輝度バランスを考慮している。外構の照明を24時間点灯することで防犯に努めるなど、町民の防災拠点としても照明が大きな役割を果たしている。