計画地の「丘陵地に囲まれたすり鉢形状」という特徴を踏まえ、丘陵地形と調和する三角形状の大屋根を採用しており、電球色を基調とした柔らかな照明計画と相まって、建物と周囲の景観が調和した施設となっている。内部空間は、いわき市の葬送習慣を踏まえた平面計画と空間ごとに異なる印象を持たせた計画となっている。動線計画と各室に配慮した雰囲気をつくり、会葬者への厚意に沿う空間となっている。
いわき市勿来町に新設された火葬場である。エントランスでは木ルーバー天井に沿って内外に連続性を持たせ、緩やかに会葬者を迎え入れる。告別室はアッパー照明により柔らかに天井を照らし、ハイサイド窓で自然採光も取り入れ、儀式の場として緊張感と同時に安らぎを感じさせる空間となっている。収骨室では収骨台に意識が向くように計画された天井形状や光天井照明により、上昇感を感じる厳かな空間が演出されている。故人との最期のお別れの場となる火葬場が、より安らぎと厳粛さを持ち合わせた施設となっており、その照明効果は高い。