埼玉県川口市の地域中核病院である埼玉協同病院・ふれあい生協病院は、建築全体で日常の生活に近い環境を作り上げる、“暮らし”に密着した新しい病院である。既存病院の更新に併せて在宅療養支援病院を新設し、一体の建物に2つの病院が共存する新たなかたちを作り出した。医療拠点を越え、地域住民らの活動の場となる“くらしの拠点”を作ることを目指している。敷地中央には地域に開かれた緑豊かなオープンスペースを配し、周りは緩やかな円弧を描く低層建物で包み込む計画である。
メイン動線の「メディカルコリドー」では、間接照明がオープンスペースへ優しく誘い、トップライトが自然光の移ろいを映し出す。外光を直接感じる機会の少ない患者やスタッフのために共用部の照明は「サーカディアンリズム」の要素を取り入れ、最適な光環境となるようにシーンを設定している。
地域との連携・調和や自然の移ろいを意識した照明計画に加え、長時間滞在する人のそれぞれの立場に合わせた明るさ、光色を時間、エリアごとに計画する等、機能性にも配慮している。
美しくユニークな天井間接照明と医療を考慮した照明器具の選定と制御が素晴らしい。