御池通に面して建つ「京都に住まうように滞在する」ことのできる全125 室のスモールラグジュアリーホテルである。市街地でありながら開放的な立地環境を活かし、客室と街が繋がり、京都の街に包まれているかのような滞在体験の提供を目指した。
南、東の通りに面する客室は、三辺支持のボイドスラブ構造により外周部の梁をすべて無くし、全面が開口部の開放感ある客室とした。この軽やかな躯体フレームは、構造の要となる厚さ60 センチの筒型耐震壁を建物中央に配置し、建物全体の剛性を高めたことにより 実現した。1階ではこの耐震壁の内側が2層吹抜のバーラウンジとなり、開放的な客室とは対照的な落ち着きある閉じた空間としている。
街に開こうとするインテリアの意思がそのまま表出したファサードは、隣接する登録有形文化財 嶋臺(しまだい)に敬意を表し、白と黒の構成で時代を超えた街並の調和を図った。
彩度を抑えた内装計画のせいもあり、色温度の低い光が活きている。インテリアの色彩計画とのマッチングが上手な印象。