工業地帯の一角にある株式会社カネカの厚生施設である。経営理念「健康経営ーWellness First」の理念の実現を目指し、「健康支援」と「医療機能」を併せ持つ施設として誕生した。診療や健診だけでなく、健康のための様々なイベントを可能とする新しいタイプの厚生施設である。
「森に溶け込む大地の屋根」のコンセプトのもと、既存の森を活かし、大地から連続する屋根で建物を覆う有機的な建物とした。
人の空間認知に大きく影響する「光」について、「健康」という側面に着目しデザインを試みた。木の表情を活かしたベース照明や面発光するOLED(有機EL)照明など、単なるデザイン性にとどまらない、人の心身の健康に寄与する光を目標とした。
OLEDの柔らかい拡散光や布を利用したゆらぎの演出により、心身の健康に寄与する厚生施設として利用者に癒しの光環境を提供している。
利用者のみならずケアを行う従事者にも配慮がなされた照明計画で、木質の内装と低色温度の照明を組み合わせた温かく安心できる空間となっている。
光環境によるウェルネスの実現に意欲的に取り組んでおり、これからのモデルケースとして評価できる。