南面には豊かな自然環境に触れることができるバルコニーを設け、北面の都市空間にはカーテンウォールと一体となった階段室を配置し、南北で対照的な外部環境を生かした構えとなっている。その中央に配されたオープンな執務室は、季節や時間の移ろいや人の行動等の環境変化の循環が知覚できる空間となっている。
照明は室内東西面に配置した間接照明のみで執務室基準照度を確保する方式を採用した。間接照明により天井一面が明るく、床面・机上面においても一般的な執務空間と同程度の明るさを確保すると共に、南北窓面からの自然光との明暗差も緩和し、執務者の手元においても指向性の強すぎる光や影のない快適な視環境を提供している。
広い天井面に一切直接的な光源を設けず、間接光によるグレアのない執務室環境をスポットライトと調光式ライン照明の組み合わせで実現したこだわりの照明計画である。
アンケートによって適正な環境をチェックするなど、運用面における調光による光環境調整の取り組みも評価できる。