亜寒帯気候における非住宅木造のプロトタイプを目指したオフィスである。厳しい冬の寒さから開口部を極力小さくする傾向がある北海道において、内部に微気候空間を作り出す入れ子構成を半透明のファサードで包み込み、新しい中間領域「亜寒帯の縁側」を創出している。さらに、一般流通木材を用いた新しい木架構を開発することで、道産木を100%使用したローカルファブリケーションを可能とし、北海道の森林とまちをつなぐ循環への貢献を図っている。
南西面の外壁に半透明の中空ポリカーボネートを採用することで日中は柔らかい自然光を室内に取り入れ、夜は外部へ滲み出した明かりが雪洞のような外観を創出している。共創スペースはサーカディアンリズム制御を導入し、時々刻々と表情を変える自然と調和するよう調光・調色を制御している。オフィス空間ではライン照明を木の二重梁の間に設置することで照明器具の存在感とグレアを抑え、適切な光環境を構築している。