1990年に海遊館は竣工し、中央の十字型をした太平洋水槽(5,400t)を中心に、総水量11,000tを誇る14の展示水槽を配し、環太平洋火山帯の特徴ある自然環境や、各地域の生態系全体を観察できるよう再現され、620種30,000点の生物を展示している。
開館30周年を機に展示環境をアップデート。13カ所の展示水槽の照明をLED化による省エネをはかりながら、従来の照明では表現できなかった自然光にみられる天空光や直射日光といった要素をLEDの技術によって再現し、あらたな展示環境を実現した。
生態系全体を展示するという水族館のコンセプトの実現に向けて、水槽内を均一に照明するのではなく、天空光と直射日光をLED照明制御によって再現することを試みている。生物の生体リズムを考慮した照明プログラムや海草の生育に適した分光分布をもった照明を採用するほか、超狭角スポット、中角スポット、フラッドスポットを使い分けることによって、氷塊や水中の陽だまりのイメージを再現し、展示にダイナミックな表情を実現している。