千代田区一番町という高級住宅、大使館が多く立ち並ぶエリアの、上質な暮らしを送ることができる都市型有料老人ホームである。敷地周辺が江戸時代に武家屋敷街であった「歴史性」、明治・大正期から今日まで多くの文化人が居住した「場所性」を取り入れたデザインを目指している。外装は、敷地の「歴史性」から、かつて外部空間と内部空間を緩やかに仕切っていた「簾」をモチーフとし、ルーバーに細かなディテールの変化を与えることで外観に表情を与えると共に、近隣からの視線制御と居室への採光確保も実現している。
共用部を時間帯によって調光することなどにより高齢者の快適な暮らしを実現するとともに、アートと光の融合の試みを随所に取り込んでいる。機能性だけでなく遊び心のある照明設計により、入居者の生活の質向上にも貢献すると評価できる。