祭事や文化行事等を行うことができる多目的施設を中心として、バスターミナル機能を持つ待機所、エネルギーセンター、クリーンエネルギー棟で構成された全体整備計画である。約8000人収容可能な大ホールを建設する一方で、市民に開放して多様な利用が可能な設えとした。周囲を取り巻く恵まれた自然環境やこの地域で育まれた伝統文化に敬意を払い、安全で快適な環境の形成を図ることで、施設を訪れる人々や地域住民の方々に末永く愛され利用される施設を実現した。
大空間のホールは多目的施設の中央に配置し東側にステージを設けている。2階もホールの3方向に客席を設け、背面はステージの視認性に配慮し段床とした。西側のロビーからは大庇下、大階段を経由して建物西側に配した半円形の芝生広場に下りることができ行事の合間の憩いのスペースとした。建物の外周には雨雪を防ぐ回廊を回した。内装は森の恵みである木を仕上げに積極的に用いてぬくもりのあるデザインとした。ベンチは飛騨の匠の技を生かしたオリジナルで多目的利用に配慮し折畳み式として移動・収納を可能にした。(2020年9月完成)
特徴的な大ホールの照明は、曲面天井に対して意匠性とメンテナンスに配慮した計画である。調光可能なダウンライトと光膜天井内にハイパワーな光を特殊レンズで広範囲に拡散させた白色LEDモジュールにより十分な照度と均斉度が確保されている。また、光膜天井にはドット制御可能なRGBモジュールをグリッド配置で組み込み、映像サーバーと連動することで青空や光る玉といった映像表現によるダイナミックな光空間演出を可能としている。外構照明は、多雪地域に配慮し、埋込器具を使用せず手摺照明、ポール灯、庭園灯を設け明るさを確保しながら、近隣への漏れ光を軽減した計画となっている。