名古屋第二赤十字病院の附属施設でありながら医療行為を一切行わず、南海トラフ地震などの被災時にDMATや全国の赤十字救護班など多くの医療チームの受け入れや災害対策本部を設置して、地域の災害医療の拠点及びマネジメントに特化した全国的にも珍しい建物である。
建設地の形状に適した中間階免震構造を採用することで大地震に耐えうる強靭な構造となっている。平常時は、地域の皆さんへの情報発信、子どもたちへの防災・減災教育の場として活用されるとともに、各種災害派遣医療チームの研修の場にもなるため、油圧ジャッキを免震層に2基設置して建物全体を揺らして模擬地震が体感できる設備も有している。(2020年8月完成)
多目的ホールの照明は、災害対策本部として天井材の脱落がないよう、器具の一切を吊らないことで、落下防止への対策が入念に施されている。グレアを低減するカバーによりまぶしさを抑えつつ照度を確保する配光設計された照明器具をテンションロットに連結して取付け、等間隔に配置することで机上面において均一な照度を確保している。また、外観は、ピット階の窓際に設置されたライン照明による漏れ光、ファサードに取付けられたブラケット照明により名古屋第二赤十字病院本館への導線の明かりを確保しており、近隣住民に配慮し周囲との調和を図った照明計画となっている。