県内中小企業者等への信用保証機関の築45年を経過したビルである。長寿命化と耐震安全性の向上を目的に「福岡県内初の居ながら免震化」改修を行った。1階の受付・事務ゾーンが駐車場となり、改修前のエントランスは人の気配が感じられる空間であったが、改修後は無人となるため、メイン入口の内装には福岡県産の木材を用い照明装置を組み込むデザインを施すことで温かみや親しみやすさといった印象のアプローチ空間に刷新した。また、駐車場では顕わに配置した免震装置と外壁ルーバ、ライトアップの構成が、安全な免震建物であることを来館者には積極的に、歩道を往来する人にはさりげなくアピールするとともに、夜は暗がりであった街並みに柔らかな印象の灯りをもたらすことを意図した。
県産の木材を使ったエントランスの照明をスリット状にすることで、水平基調の角材とライン照明を一体化した建築デザイン照明を実現しており、進行方向が明瞭になってスムーズに誘導される。また、免震装置の目隠しルーバも間接照明として効果的に活用され、来訪者に免震ビルという安心感を与えることができている。