塩野義製薬の新社員研修、キャリア研修、MR(医薬品営業)研修などを行う宿泊機能併用の総合研修施設である。一日の研修スケジュールの中で自然とモードチェンジが図れるように研修棟と宿泊棟の分棟とし、高速道路を挟んで向かい側の既存施設とともに一体感を感じるように豊かな外構を囲んだL型配置とした。内部空間では、研修会議室のホワイエやライブラリを船上デッキ(甲板)に見立て、時間とともに変化する川面や空の風景を取り込みながら、お互いをスキップフロア状に向き合わせて配置した。多様な研修が同時開催されるため、シンプルな立体構成の中に、集中して学習したい人や世代間の交流を期待する人、各々が理想的な距離感や好みの居場所を選択できる知的研修環境を追求している。
館内においては、特別な照明器具に頼らず、汎用器具を適切に配置・計画している。間接照明によりグレアを軽減しながら、明るさ感を確保するなど、各エリアに求められる光環境を実現できている。外観においてもやわらなか光で周囲環境との調和し、河川沿いの景観に見事に溶け込んでいる。
総合的に照明が建築物を引き立てている模範的な事例となっている。