隣接する東西の道路に対し、両手を広げたような壁と屋根で人々を迎える外観が特徴である。風除室には様々な作品が展示され、待合スペースは業務後も人々がとどまることができ、イベントも開催できる敷地内の通路は通り抜けができるようになっている。このように建物全体に地域解放スペースをちりばめることで、「地域に開く」信用金庫を体現している。
建築の最大の特徴である、曲面壁と湾曲屋根を最大限に生かした照明手法により、洗練された空間を印象づけている。天井には一切設備を設けなかったこともあり、地場産の天竜杉で形作られた3次曲面が優美である。構造上必要な耐風梁の上下にLED照明を仕込んで、天井と庇の両方ともに照らし上げた。さらにカウンター上に導光パネルブラケットを連続設置し、併せて床面300ルクスの十分な明るさを得ている。
風除室やギャラリーはダウンライトとコーブ照明で構成し、ロビーとともに明るさ感を大切にする思想でまとめた。一方、執務スペースはベース照明を連結配置して、机上面750ルクスを確保した。
夜間になると、ハイサイドライトから漏れる光が上品な夜景をつくりしている。ライトアップ用の専用器具でなく、ロビーの照明を点灯することで自然な存在感を表すことに成功した。