東京都大田区の羽田空港を目前に臨む物流倉庫のワンフロア(5,300㎡)に構える梓設計の新社屋である。100m×65m、階高6.6mの巨大な床=メガプレートに約450名の社員が全員フリーアドレスで働いている。ここにランウェイと名付けた最長100mの4本の軸を入れることでメガプレートに骨格を作り、打合せやプレゼンテーションなど、様々アクティビティがオープンに可視化される拠点とした。
照明計画においても、「光のダイバーシティ」をコンセプトに新しい取り組みを行っている。サーカディアン制御を施した照明をベース照明としながら、カフェテリアやラウンジ、ホールなど、エリアごと異なる質感の光環境を提供することで、均質で画一的な空間というオフィス設計の固定概念を打破する試みを行っている。
巨大なワンルーム空間を多彩な照明手法により強調し魅力あるオフィスとして概念を一新している。サーカディアン制御やスマホによるコントロールなどの機能を取り入れながら生産性、省エネに貢献。カフェテリアのペンダントは同じ大田区内の優れた板金加工技術で製作しアイコニックなものとなっている。地場の技術を活かした考えは評価できる。
高天井のホールではリモートコントロール可能なスポットを採用し適材適所で技術を活かしている。知的生産性をキーワードに画一的な照明手法から脱したデザインは、今後のオフィス照明のあり方を議論する作品として普及賞に値する。