「e- あかりのたより第4号」では近年課題とされている地球環境保全の中心となった京都に注目し企画取材を行いました。
中でも株式会社ジーエス•ユアサ ライティング様本社を訪問取材させていただき、歴史的景観への配慮や環境問題に対する取り組みなどをお伺いしました。
2004 年10 月に、「株式会社 ジーエス•ユアサ ライティング」は株式会社 ジーエス•ユアサ コーポレーションの事業子会社である日本電池株式会社
照明機器カンパニーの新設分割により設立されました。
当社は、グループの基本理念であります「革新と成長」のもと「光エネルギー技術により、エコロジー社会に貢献する」経営理念を掲げ、より一層の高品質な製品に努めております。
明治の戦時中、前身である日本電池(株)が鉛電池の会社として発足したのが始まりで、照明は海軍から受けたモールス信号用光源の依頼がきっかけとなりHIDランプが開発されました。その後初のアルミダイカスト製道路灯の開発を皮切りに、様々なランプを開発し、道路照明や景観照明に大きく貢献し続けています。
(株)ジーエス•ユアサ ライティングは島津源蔵氏の名より商標登録された「GS」から由来しています。明治期より創業の歴史が社屋のそこここに感じられます。
(ご協力者:技術部 部長大橋様、技術部 課長塩見様、技術部 システム設計グループ 係長京藤様)
Q1. 京都と言う土地柄(京都議定書が採択された地)、地球環境への配慮をより一層求められると思いますが、照明メーカーとしてどのような取り組みを行われていますか?
A1. 省エネルギー製品により、地球環境改善に取組んでいます。平成12年に高効率・長寿命ランプ『エコセラ』(セラミックメタルハライドランプ)を発売しました。
『エコセラ』は、水銀灯に比べ、約1.8倍の高効率で、約1.25倍長寿命です。
その省エネルギー性を評価していただき、平成13年度第12回省エネ大賞の経済大臣賞を頂きました。また、バッテリー技術を活かしたソーラーライトにも力を入れています。
私どもの製品が、地球環境改善の一助となれるよう、更なる省エネルギー製品の開発に取組んでいきたいと考えています。
Q2. この度、道路照明専用ランプ『エコセラR』を発売されたそうですが、高効率で光源の色温度が3500Kと白色系であると言うことで、現在、道路照明器具の光源として主流である高圧ナトリウムランプに変わり、道路照明環境にどのような変化、意見がありましたか?
A2. 現在、道路照明には高効率であるとの理由から高圧ナトリウムランプが多く使用されています。だた、高圧ナトリウムランプは演色評価数Ra25であり、また独特のオレンジ色をしており、自然光との見え方に比べ大きな違いがあります。
『エコセラR』は高圧ナトリウムランプと同等の光束があり、しかもRa70と自然光に近いため、安全で快適な道路照明環境を提供できると考えています。実際の点灯状況では、同照度であっても、高圧ナトリウムランプより『エコセラR』の方が明るく感じるとの意見を頂いています。
Q3. 道路照明についての質問では光束や色温度の他、演色性の改善のお話もお伺いする事が出来ましたが、屋外空間だけではなく、屋内照明分野ではどのような影響があったのかも教えていただけますか。
A3. 屋内照明分野では、『エコセラII』として4000Kと3000Kをラインアップしています。特に4000Kはその『明るさ感』により、快適な照明環境が実現でき、工場や倉庫などで点灯した瞬間に「こんなに明るいの!」と驚きの声を上げられます。
屋内照明においても、照度だけでなく、演色性、色温度が重要な要素であることを実感しています。
本社・会議室 訪問インタビュー風景
Q4. 京都風情にマッチした照明条例等によりいろいろと制約もあるように思いますがご苦労されている点など教えていただけますでしょうか。
A4. 照明では高さ条例のような景観条例が問題になることはありませんが、それぞれの地域で「町並み」を大切にされており、住民の方々と何度も打ち合わせを繰返し、その町並みに合った照明をさせていただく事が多々あります。
本社内ショールーム見学風景
バッテリーからランプに至るまで、ジーエスユアサグループの商品をまとめて見学する事が出来ます。
展示機器紹介 照明器具、ランプ開発のパイオニアとしての遍歴が感じられます。
展示機器紹介 省エネの経済産業大臣賞を受賞した(エコセラ)も展示されています。
(株)ジーエス•ユアサ ライティング
本取材を行い、常に時代の先を行く様々な開発を行って来た株式会社ジーエス•ユアサ ライティング様の地球環境へ配慮した新光源の開発に対する熱意と可能性を改めて感じる事が出来ました。
主力商品である「エコセラ」は、地球温暖化対策につながる消費電力(CO2)の削減に寄与するだけではなく、認定NPO 法人「世界の子どもにワクチンを」日本委員会(JCV)に協力し、ワクチンが手に入らない世界の子ども達にランプ1
灯の販売に対し、1 人分のワクチンを支援するという活動も行っています。
地球環境に対する配慮だけではなく社会貢献にも取り組む企業姿勢を垣間みる事が出来ました。
貴重なお時間を設けていただき、また私達の拙い質問に丁寧に回答していただき、一同大変感謝しております。
ありがとうございました。(安部)