「透析患者の完全社会復帰」を基本精神とする病院の移転新築計画である。コンセプトは、明るく前向きな生活を送るための「セカンドハウス(第2の住まい)としての透析施設」とし、日常から離れた「少しの非日常」を味わえる空間で、週3回の通院治療が少しでも楽しみになる病院を目指した。
象徴となる2階外来透析室は、川側に大きく開く形状とし、高さ700mmの上段下段のスキップフロア構成とした。スタッフステーションに近い上段に透析ベッド、窓側となる下段に透析チェアを並べ、段差を生かした半個室空間とすることで、スタッフの見通しを確保すると共に、患者同士の視線が向き合うことなく外の景色を望める開放感のある空間を実現した。
長時間治療を受ける患者に直接風が当たらない空調やサーカディアン照明により、穏やかな空間づくりを心掛けた。
透析室では仰向けになる等の患者の行為に配慮してグレアレス照明を施すなど照明により、病院機能を補強している照明計画で素晴らしい。2階テラス部の外部に開いた屋根・壁面を室内からの照明が強調し、街路に温かみを与えている。建物全般で建築化照明を採用し、明視性と快適性を両立している。