長きにわたり地域医療を支えてきた私立病院の新築移転計画で、急性期医療機能補強のため、180床の病室と充実した外来機能の整備、地域の二次救急病院としての救急機能の拡充などが求められた。
複合的な医療機能が多種多様に備わっていながらも、患者が利用しやすく、スタッフも連携しやすい施設とするため、できるだけシンプルでわかりやすい平面計画を目指した。
外来患者の主動線であり、病院の顔となるメインエントランスから2階外来フロアは、RC梁に貫入させた鉄骨梁を6m片持ちさせ、北面からの優しい自然光をたっぷり採り入れた健康的な空間とした。
来訪者を受付後速やかに、外来のメインフロアである2階へと導く空間を創ることが課題であったが、上昇を予感させるナナメ壁の外装アクセント、仕上の濃淡の切替、そして夕暮れ時に外部へと温かい光が漏れ出す照明計画により、案内サインがなくとも自然に上階へ上がりたくなる空間を実現した。
開放的な建築設計に対する間接照明を多用した空間は、多くの患者が利用する施設として、親しみを演出できている。