京都取材2日目に、八坂神社の南隣にある『京都祇園らんぷ美術館』を見学しました。こちらには、明治時代に 使われていた日本製、外国製の石油ランプのみ約700点が展示されており、美術品として非常に価値のあるランプも所蔵されています。
ランプの歴史を辿るとともに、昔の人々の暮らしや、生活の知恵を感じる事が出来る美術館です。
飾られている多数のランプ
座敷ランプは、ヨーロッパから渡来したランプを、日本の生活文化「畳」に合わせて作られた背丈の高いランプです。台座に木材を使用した和の赴き(写真左)のものや、大理石を使った豪華なデザインのもの(写真右)が展示されています。
テーブルや机上照明として使用された台ランプ。
華麗なデザインと、美しい色合い、曲線美が特徴的な台ランプは、高級感があり、当時の豊かな暮らしが想像できます。
一例として、ランプの笠には乳白色の一字霜降り模様、油壷は金で発色した金赤、乳白台には七宝つなぎ模様がカットされたものなどがあり、随所に当時の職人技が光ります。
灯りだけでなく、様々な用途に応じたランプが展示されておりましたので、その一部をご紹介いたします。
上のお皿に液状の薬を入れて火を炊き、その気化した薬を吸うことで喉などの病気を治すというランプのようです。
そのランプのパッケージには寝ている女の子の横にそのランプが置かれている絵が書かれていましたので、寝ている間に使用するものだったようです。
左側の丸窓のランプは、検卵するためのランプです。卵を光に透かして有精、無精の判別や孵化の様子を見るために使用されたようです。
各部屋へ行く階段の踊り場部分には、アンティークの綺麗なシーリングの照明器具がついていました。
祇園らんぷ美術館には、本文でご紹介させて頂いた以外にも、初めて目にするランプが多数展示されており、時代を遡って様々なランプを鑑賞することができました。
ランプと言っても、明かりを灯すだけではなく、ランプを利用し時計の役割を果すものなど生活に結びついた機能を兼備えるものあり、昔の人のアイディアや、高度な技術に感銘を受けました。
時代の移り変りとともに、照明は形を変えていきますが、照明が人々にもたらす安らぎは、これからも不変的なものであって欲しいと感じました。
最後に、貴重な時間を割いて展示品をご説明頂きました館長の難波様に、この場をお借り致しまして、御礼申し上げます。
(取材記事:杉山・熊谷)